M5Stackを分解したり電源を入れてみて、いろいろ思ったこと

M5Stackを動かしてみたり、分解してみて感じたことを綴ってます。 M5Stack

こんばんは。

2017年秋ごろから、Facebook の ESP8266/ESP32環境向上委員会ページなどで話題になっていて、かなり早くから macsbug さんのページで取り上げられていて気になっていましたが、スイッチサイエンスさんが M5Stackを販売し始めたことを切っ掛けに、私も購入して、レビューしてみました。

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ただ、1か月以上前に購入したものの、年度末の忙しさもあって、なかなか電源を入れることすらできずにいました。

今回はようやく電源を入れてみたので、自分の視点で報告してみようと思います。

ただ、分解したり、電源を入れてみただけなので、プログラムを動かしたりなどは一切しておりません。
特別な事は何もありませんが、唯一挙げるとすれば、スイッチを壊してしまったという失敗報告です。

ただ、分解してみて分かったことは、これを製造した地域の人々のエネルギーみたいなものを肌で感じました。
今の日本には感じられない凄さがありました。

因みに私はアマチュア素人ですので、以下のレビューで誤ったことや勘違いしていることがあるかもしれません。
もしお気づきの点がありましたらコメント欄等でご連絡いただけると助かります。

2020年1月時点で最近流通しているロットの新型M5Stackでは、IPSスクリーンのLCDが使われています。
詳しくは以下の記事も合わせてご覧ください。
M5Stack FIRE (PSRAM付き)およびIPSタイプのLCD ILI9342Cを使ってみた

 

M5Stackについて

正直、M5Stackについて、私はあまり詳しく知りません。
そもそもどこのメーカーが作っているのかさえ、ネットで調べても良く分かりませんでした。

簡単に言うと、Espressif Systems 社のWi-Fi および Bluetooth 対応の ESP32 チップを搭載し、液晶ディスプレイ、micro SD (TF)カードスロット、バッテリー、USB-type C コネクタ、Groveコネクタ等をケースに収めたものです。
電子工作で、よく使うものを全部詰めたっていう感じですね。
しかも、日本で使えるように技適取得済みとなっているものです。

Arduino IDE や ESP-IDF , MicroPython で開発できる他、専用の Cloud 開発環境もあります。

販売店は日本ではスイッチサイエンスさんにあります。
https://www.switch-science.com/catalog/3647/

つい最近、Amazon.co.jp でもスイッチサイエンスさん販売で出ていました。

(追記)
M5Stack Basicは、この記事を書いた当時より格段にバージョンアップしております。
以下のスイッチサイエンスさんの公式サイトをご参照ください。
https://www.switch-science.com/collections/%E5%85%A8%E5%95%86%E5%93%81/products/9010

M5Stackのスゴイところは、オプションパーツを使えば、自作回路を拡張できるところです。
他の電子工作系の拡張基板と比べると、カッコイイです。

M5Stack用プロトモジュール [M001]

いつか自分自身でこういうものを作りたいとは思っていても、その方法が分からず、なかなか実行に移せなかった間に、ついに作られてしまった感じです。
なるほど、「こんな方法があったか・・・」と感心してしまいました。

その他、詳細については、以下の本家のWEBページをご覧ください。

https://m5stack.com/

その他、macsbug さんのブログでは、よりコアな内容で詳しく紹介されていますので、参考になると思います。

https://macsbug.wordpress.com/

M5Stack Gray(9軸IMU搭載)外観

今回、私は、加速度、ジャイロ、磁気の9軸センサー搭載のグレーのものを購入しました。

※M5Stack Gray(9軸IMU搭載)現在は販売終了しております

 

まず、外箱ケースはこんな感じです。
パーツケース等でよくありそうなプラスチックケースですね。

開けるとこんな感じです。

内容物はこんな感じです。
ネットで見るよりも、実物の方がかなり小さくコンパクトでした。
ケースを開けた当初は「スゲー」って思いました。
説明書もなかなか詳細に書いてあって、イイ感じです。

QIコネクターコードと、USB-Type C 変換ケーブルが付属していました。
ただ、このUSB-Type C 変換ケーブルでは短すぎるので、延長が必要かもです。

M5Stackグレーの外観です。
カッコイイっす!
液晶ディスプレイは FW-TFT020 という不明な型番ですが、ILI9341 ? らしく、電子工作で広く流通しているものです。

側面にはちゃんと日本の技術基準適合証明(技適)マークが付いています。
日本で使うにはこれが肝心ですね。
下のピンソケットのアサインについては裏側を見れば分かります。
これは後で述べます。

電源ボタン、USB-TypeC コネクタ、Groveコネクタがあります。
こちら側から見ると、下側のケースに隙間がありますね。
直ぐに外れてしまいそうな感じです。

こちら側には micro SD カードスロット穴があります。
右側の穴は謎です。
もしかしたら、後でLED をセットできるようにしているのかも知れません。
こちら側でも下側のケースと隙間があり、イマイチです。

micro SD カードスロットについてですが、実は取扱説明書に TF カードスロットって記載してあります。
TFカードは 2004年にサンディスクが開発したもので、それを SDアソシエーションが引き継いだらしいのですが、現在では SDカードや micro SD カードと明記した商品を販売する場合、ライセンス料をSDアソシエーションに支払わねばならないようです。
したがって、SDカードのロゴも刻印できないわけです。
そのため、TFカードとしているのだと思われます。
TFカードと記載されていても、micro SDカードと同じように使用できるので、使用上は問題ないと思われます。
この辺は新興メーカーとしては厳しいものがあるんだなぁと感じ取れます。
(※最近流通しているロットでは、使用可能なmicro SDHCは、4GB~16GBまでだそうです。付属の取扱説明書に明記してあるので、よく確認してください。)

ではこちら側はスピーカー用の穴ですね。

裏側にピンヘッダやピンソケットの GPIO 等のアサインが明記されています。
これはとっても分かりやすいですね。
よく考えられています。

M5Stackを分解してみる

では、どういうパーツが使われているのか、M5Stackを分解してみようと思います。

まず、下図の様にスピーカー側のところにマイナスドライバーを当てて開くと、下側のケースを外すことが出来ます。

こんな感じになります。

開けてみると分かるのですが、下側の基板はロープロファイルっぽいピンヘッダだけで接続されていて、ねじ止めされていません。
その為に先ほどの側面の隙間があったようです。
実はこれ、バッテリーが充電されていると、基板をハメるだけで ESP32が起動してしまって、イマイチ具合が悪いです。
バッテリー側にスイッチがあればいいのに・・・と思いました。
この短いピンヘッダでは接触不良が気になるところです。

付属の取扱説明書にもありますが、自分自身で拡大鏡を使ってICチップの刻印を調べてみた結果は下図の様な感じです。

N4150 というスピーカーを駆動するアンプ用チップは取扱説明書ではNS4148 と記載されていましたが、あとは殆ど同じでした。

ここで自分的に気になるのは、電源管理です。
以前、以下の記事で調査したことがありますが、ESP32 は Wi-Fi 動作時には瞬時600mA の電流を必要としますし、突入電流も大きいです。

●ESP-WROOM-32 ( ESP32 )の消費電流を電流プローブ無しで測定してみました
●ESP-WROOM-32 (ESP32) の 電流 測定 その2
●ESP-WROOM-32 ( ESP32 ) のUSB電源突入電流(インラッシュカレント)を考える
●ESP-WROOM-32 ( ESP32 ) の保護機能付き電源強化対策の実験

M5Stackの回路図を見てみると、EA3036 と IP5306 で電源管理していて、バッテリーの電源管理も兼ねていて、この回路が良質な電源を確保しているのかどうか正直良く分かりません。

詳細に回路やパーツの特徴を追っていないので、以下個人的な予想も含めて述べてみます。
(間違えていたらスイマセン)

EA3036 は5Vから 1.2V , 1.5V , 3.3V の3ch の電圧を作ることができるチップのようです。

IP5306 は5Vバッテリー充電放電用のチップのようで、恐らくバッテリー対応のUSBハブに使う用途っぽいチップに見えますが、中国語のデータシートしか見つけられず、Google 翻訳を使ってもイマイチよくわかりませんでした。
この2つのチップを組み合わせて、ESP32 に電源供給しているように思われます。

こういうのを見ていると、中国では既に自国のパーツだけで全てを賄えるようになってきているんだなぁ・・・とつくづく技術の進歩を感じてしまいます。

CP2104 は USB – シリアル変換で、ESP32 DevKitC で使われている、CP2102 と同系統シリーズのような感じで、CP2102 よりも小型です。
これは Mac PC ではドライバインストールが必要らしいです。

見ても分かる通り、3Dアンテナがあり、ESP-WROOM-32 を使っているのではなく、金属ケース内にESP32 と4MBフラッシュを閉じ込めた形になっています。
つまり、新たに申請して技適を取得しているということですね。

そして、スピーカーが入っていることには驚きましたね。
ホントに欲しい機能をすべて詰め込んでいて、よく考えられています。

ここで、あれ? と疑問に思いませんか?
9軸センサーがありませんね。
自分自身もかなり探してしまいました。
これは後で分かりますので、先に進みます。

では、
バッテリーが搭載されている基板ケースを開けてみます。
下図の様に六角ネジを外します。

すると、中にマグネットが入っているために、ネジがくっ付いてくれて、とても便利!
こんな感じで立てても、ネジが落ちません。

外すとこんな感じでマグネットが付いています。
このマグネット、便利で、M5Stackを壁の鉄板にくっ付けることもできますが、イマイチ磁力が足りません。
もうちょっと強力だと良かったなぁと思いました。
でも、一昔前だったら、ディスプレイの近くにマグネットなんて害でしかなかったのに、今はマグネットだらけで何も問題無くなっている時代になってきてますね。

中のバッテリーについてはこんなサイズなので、あまり容量は期待しない方が良いと思います。
バッテリー自体にも保護回路っぽいものがありますね。
ここは熱を持つところなので、カプトンテープで絶縁されています。
また、ピンヘッダやピンソケットはこういう使い方をすればいいのか・・・と参考になりますね。

では、ちょっと難関のディスプレイ側を外してみます。
(※ここからは破損しやすいので、自己責任です!!
基本的に分解しないことをお勧めします)

下図の様に六角ネジを外します。

次に、まずはスピーカーから精密ドライバーなどを使って外します。
ケース側に両面テープのようなものでくっ付いていますが、下図の様に持ち上げれば外せます。

その後が若干コツがいります。
スピーカー側に基板をズラして、その後基板を垂直に持ち上げる感じで外します。
ここは決して無理をしないように!!
特に赤い電源ボタンのところは破損し易いので気を付けてください!!

すると、下図の様になり、そこに9軸センサーらしいものがありました。
ただ、このチップの刻印が何故か読み取れませんでした。
でも、おそらくこれが MPU9250 と思われます。

液晶ディスプレイ ( LCD ) 用接続端子が見えます。
FW-TFT020 という型番が見えますが、ネットの情報によると ILI9341 系らしいです。
でも、私の手持ちの ILI9341 LCD より、やけに小さいのですが、本当にILI9341なのかちょっと疑問です。

このディスプレはどうやってハメているのか謎ですが、よーく見ると、両面テープっぽいものでフロントパネルと固定されていて、それを剥がすと大変なことになりそうなので、解体はここまでにします。

さて、これから元通りに組み上げるわけですが、ここで要注意!!

私はちょっと油断して電源ボタンのスイッチ素子を壊してしまい、下図の様に接点が露出してしまいました。
買ったばかりで殆ど使っていないのにショック!!

ここのスイッチ、ちょっとした力で吹っ飛んでしまいますのでみなさん注意してください。

ということで、基本的に分解しないことをお勧めします。

M5Stackの電源を入れてみる

付属のUSB-TypeCケーブルが短すぎるので、恐らくUSB延長ケーブルか、新たに長めのTypeCケーブルが必要と思われます。

では、電源に接続したUSB-TypeC ケーブルを挿して起動した動画は以下です。

いかがでしょうか。

TypeCケーブルを挿した瞬間にいきなりスピーカーから音が出て液晶画面にロゴが出てきますね。
音声は割れていますね。
ここは一番ウキウキするところなので、もうちょっと音量を抑えれば良かったのに・・・と思いました。

また、Type Cケーブルを抜くとまた再起動してしまいます。
これは、電源を OFF にしてから抜くようにしたいですね。

赤い電源ボタンは1度押すと再起動し、2度連続で押すと電源OFF になります。

起動後はディスプレイチェックカラーが出て、その後 Wi-Fi scan が入り、その後 TFカード (micro SDカード)ファイル等のチェックが入りますね。
文字が小さすぎて、老眼の私には辛いものがあります。

起動の最後は、ボタン動作チェック状態で待ち受けるので、ボタンを押して文字が表示されるか確認する状態です。

とりあえず問題無く動作したので一安心ですね。

因みに、パソコンで Arduino IDE を起動し、USB COMポートを選択して、のシリアルモニターを、115200 bps で起動し、M5Stackを再起動すると、下図の様に表示されます。

この起動画面は詳細に調べていないので良く分かりませんが、おそらく、Arduino core for the ESP32 で作られたスケッチをコンパイルしたものっぽいですね。

Arduino core for the ESP32 スケッチで、ESP32 Chip 情報を見てみる

では、Arduino core for the ESP32 で、M5StackのメインCPU ESP32 のチップ情報を見てみたいと思います。
Arduino core for the ESP32 のインストールされていない方は、以下の記事を参照してください。

Arduino core for the ESP32 のインストール方法

では、以下の記事を参照して、ESP32 や 内蔵Flash の情報を見てみたいと思います。

ESP-WROOM-32 ( ESP32 ) チップ・メモリ・MACアドレス情報取得方法

Arduino IDE シリアルモニターで確認すると、私の場合は以下のようになりました。

Chip revision が 1 になっていました。
0 の場合は、Arduino IDE からコンパイル書き込みする場合、USB-シリアル通信の自動書き込みがうまくいかないなどの不具合がありますが、1 の場合はその不具合が修正されているチップです。
とりあえず最新版のようで、安心しました。

最新記事のその他情報

最新記事では、M5Stackを使っていろいろと実験し始めています。
押しボタンスイッチの感度調整したり、TFT LCD (液晶ディスプレイ)ILI9341 にグラフィック表示させたり、日本語漢字フォントを表示させたりしています。
以下の記事も合わせてご参照ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

今回は分解して、ただ電源を入れただけですが、さすがに話題になっているだけあって、電子工作のための参考になる要素が沢山含まれていました。
特にコンパクトさを保ちつつ、将来性を見据えて拡張できるように配置しているところは、練りに練ってアイデアを振り絞った感が見てとれますね。
こうすれば売れるっていう要素いっぱいです。
何より、超コンパクトというのがイイですね。

それと、基板のパーツを見ても分かる通り、ほぼ中国国内で調達できているのではないかと思うくらい、中国製パーツだらけです。
益々中国の技術の進歩を感ぜずにはいられません。
この基板を見るだけで、もの凄いエネルギーを感じてしまいますね。

また、マグネットを採用したところもスバラシイ。
磁力がイマイチですが、こういう気遣いは日本人の得意分野だったんですけどね。

ということで、M5Stackにはちょっとしたカルチャーショックを受けてしまいました。
これに負けないように自分もガンバろうと思いました。

今回はここまでです。
今後は M5Stackも視野に入れたプログラミングや電子工作をしていこうと思います。

ではまた・・・。

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コメント

  1. macsbug より:

    いつも記事を読ませて頂いています。素晴らしい内容で感嘆しています。
    分解と調査報告をありがとうございます。
    電源スイッチを壊されたとの事で 部品を調査購入致しました。

    ESP32 M5STACK 修理用部品調査報告:電源スイッチ。
    サイズ、スイッチの接点方向(この画像で横方向)、基板への取り付け凸部 は合致していました。部品の取り外しはパターンを痛めない様に 力を加えない注意が必要です。
    調査の為、部品は余っていますので 都内でお会いできれば差し上げます。
    名称:touch switch button switch:1個 20円。(20個 $3.71 399円)。
    輸送期間:9日。
    販売店:Aliexpress:Happy&lucky gift house Store:
    https://www.aliexpress.com/item/Little-Turtle-legs-side-by-touch-switch-button-switch-legs-little-turtle-side-by-4-feet/32607787941.html
    ここには画像を乗せられませんので、Face Book の「ESP8266/ESP32環境向上委員会」に記載しておきました。

    • mgo-tec mgo-tec より:

      macsbugさん

      コメントありがとうございます。
      こちらこそ、いつも拝見させて頂いていて、詳しいパーツ情報と先見の明には頭が下がりっ放しです。

      早速の電源パーツ情報、スバラシイです!

      でも、実は、別タイプのすぐ手に入るスイッチに替えようと思っているところだったんです。
      意外とまだまだ分解して確認することが多いので、同じスイッチに替えても、また壊しそうだと思っていました。
      ということで、私は別の汎用スイッチで修理記事を書こうと画策しております。
      (別の課題が盛り沢山で、しばらく故障したまま使っている状態だと思いますが・・・)

      Twitter では、同じように破損されている方がいたように思います。
      この情報は、とっても有益な情報だと思いますので、ツイートして情報流しておきますね。

      いつも、とっても有益な情報ありがとうございます。
      そして、わざわざブログにお越し下さり、感謝感謝です。
      m(_ _)m

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